成功する医院失敗する医院 | パートナーズ・コラム
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| 湯沢会計事務所代表 税理士 湯沢勝信 |
1.はじめに
せっかく開業するからには、全ての先生方に成功していただきたいと思います。
診療所の数が人口に対して適正数あるいは、不足気味であった時代には、マーケット面からの失敗ということは、非常に少なかったと思います。そういう時代に診療所経営が失敗するというのは、建物や医療機器に対する過剰投資であるとか、派手な遊興費、本業外の不動産投資、ギャンブルといったことが原因でした。
しかし、現在1年間の診療所開業数が4000件とも言われ、一種の開業バブルの様相を呈しています。今後は、全ての開業が成功するということは、残念ながらありえないと思います。
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2.開業の成功と失敗の意味
もっとも、開業が成功と言う場合にどの程度のことができたら成功なのかということは、各先生方によって違うと思います。自分のやりたい医療を実現することこそが、開業の目的と考えている先生もいらっしゃいます。
しかし、自分のやりたい医療と、地域が必要としている医療が必ずしも一致しない場合もあります。そういう場合には、移転するか地域が必要としている医療を提供するように先生自身が診療方針を変えていった方がいいと思います。
一番大切なことは、地域の患者様が必要としている医療をきちんと提供する事だと思います。そうすることによって沢山の患者様が集まり、その結果収入も増えて行きます。
つまり、自分のやりたい医療をやり、それが患者様から受け入れられれば、当然収入も増え結果的に開業は成功したと言えるわけです。
数字の面から開業の成功ということを考えるとどうなるでしょうか?
これは、客観的に考えて、医院の平均的な年収を超えているかどうかということになると思います。 平成17年6月実施の医療経済実態調査 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/06/s0621-6.html
によりますと、無床診療所の1ケ月の平均収入は、月705万円となっており、利益は、260万円、青色事業専従者給与が月53万円ですから、実質313万円の利益をだしていることになります。
医院の診療日数が、25日とし、内科で患者1人当たりの平均収入が5000円と仮定すると、1日平均57人の患者が来ている計算になります。このラインをどれだけ超えるかということが、医院の成功の度合いを示しているとも言えます。
ちなみに私どもでは、レセプト数で月に1000枚、患者数で1日100人を超えている医院を成功している医院と考えています。
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3.成功する医院の条件
(1) 開業場所
それでは、成功する医院と失敗する医院の違いはどこにあるのでしょうか?
ひとつには、マーケットの問題です。
開業しようとする地域に先生が提供しようとする医療がどれだけ必要か、また同じ事をしている先生が何人いるのかによって来院患者数は、変わってきます。先生と同じ事をしているドクターが地域に沢山いればいるだけ、患者さん側から見れば選択の幅が広がることになり、他のドクターとの競争率が高いことになります。
やっぱり競合ドクターの数が少ない場所でやった方が成功の確率は高いと思います。
首都圏近郊で言えば、開業希望のドクターの開業場所の1位は、東京であり、2位は神奈川県です。埼玉県で開業した方が、患者数÷ドクター数で見たとき、東京・神奈川よりもずっとその数が、多いのにもかかわらず人気が高いのです。
これは、やはり住環境や教育環境から考えて、東京、神奈川の方が、埼玉・千葉・茨城よりドクターには人気があるので、東京・神奈川に住み、そして家から通える範囲内で開業しようとする先生が多いからだと思います。
しかし実際のところ、東京や神奈川で開業した場合の患者数の立ち上がりは、ここ最近非常に厳しいものになってきています。
これらの地域では、立ち上がり時に予想しただけの患者数が集まらず、結果的に、思った以上に運転資金が必要になり、貯金を使いはたして追加融資をうけるということも珍しくなくなっています。
中には、開業から半年以上がたつのに、1日の患者数が10人未満で毎月どんどんお金がなくなっていき、もうやめたいと言い出すドクターもでてきています。
ドクターのこうした都会開業志向というのはおそらくずっと続くものと思われますので、開業時から確実に患者を集めたいと考えるのであれば、埼玉・千葉・茨城の競争のない場所で開業されることをおすすめします。
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(2) 設備投資
開業の成功と失敗を決める2つ目の要因としては、キャッシュフローです。
キャシュフローとは、入ってくるお金と、出ていくお金の差額のことです。
入ってくるお金は、患者様が沢山来れば来るほど良くなりますが、開業前においては正確な金額を予測することは、不可能ですので、出ていくお金の方を小さくすればいいのです。
出ていくお金を小さくするためには、一つは、設備投資の金額を小さくすることです。具体的には建築費や内装代といったものは、安い業者を使うとか、安い材質のものを使うとか、安く上がる設計にすることによって、かなり差がでてきます。こうして開業にかかる投資額の中でも大きな割合を占める建築費や内装代を低く抑えればその分資金繰りが良くなります。
また、医療機器については、開業時には必要最小限度のものにしておき、開業後患者が集まり資金繰りが良くなったところで、徐々に新しいものを導入するようにしていくようにします。
また、建物を借りるときに必要な敷金や保証金は、退去時まで返ってこないお金ですから交渉により極力低く抑えてもらうようにします。
広いスペースを借りて、高い保証金を支払い、その上高い内装代になっている先生の場合には、かなりの患者数が集まらないとお金が回らなくなってしまいます。そういう先生を見ると何でこんなにお金をかけてしまったのだろうと驚いてしまいます。
大きすぎる設備投資額は、確実に資金繰りを悪くしますので注意が必要です。
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(3) 資金調達
キャッッシュフローを良くするための2つ目の方法は、借入金の返済期間をできるだけ長く取ることです。
同じお金を借りても返済期間の長短によって資金繰りは大きく変わってきます。金融機関は資金使途によって設備資金と、運転資金にわけてそれぞれの返済期間を設けています。
民間金融機関であれば、設備投資で10年間くらい、運転資金で最高7年間です。
これが国民生活金融公庫であれば、設備投資であれば最高15年の返済期間で貸し付けを受けることが可能です。
よくドクターは、お金を借りる際、金利の高低を問題にしますが、住宅ローンと違い事業資金の借り入れ金利については、経費に算入できるわけですから、課税所得1800万円超の場合には、最高税率50%が適用され、金利を経費にすることによって実質金利は、半分になります。
つまり、仮に4%で借りたとした場合住宅ローンなら4%ですが、事業資金の場合には、実質その半分の2%になるということです。
金利は安いにこしたことはありませんが、キャッシュフローを良くするためには、金利よりも返済期間の方が大きいのです。多少金利が高かったとしても、とにかく長い期間貸してくれるところから資金調達をしてください。
こうすることによって、開業時の患者が少ない期間を資金ショートすることなく乗り越えられることができるのです。
担保がないとか、保証人がいない先生の場合リースに頼る傾向がありますが、リース期間というのは、5年間で組むことが多いので、リースに頼りすぎると、キャッシュフローが悪くなります。 なるべく沢山の現金を残した上でリースを組むと言うのが正しいやり方です。
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4.最後に
以上まとめますと、1.開業場所の選択、2.設備投資、3.資金調達方法 この3つが、税理士から見た開業成功のポイントだと考えています。
皆様の開業が大成功されることを、心からお祈り申し上げています。
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